インタビュー

Interview series vol.1うたう看護師 mana

「メディケアナース」は、看護師として働くひとの休日に“のんびり”を届けるウェブマガジンです。

私達が考える“のんびり”とは「私を楽しみ、私と語らう時間」。

インタビューシリーズではジャンルを問わず、多様な立場のひとにとっての「 私を楽しみ、私と語らう時間」について探ります。

休日、のんびりのお供にどうぞ。

写真・文:工藤 葵 ( 写真家・メディケアナース編集長 )

mana / うたう看護師

平成6年生まれ、九州出身。現役看護師。SNSを中心にJ-POPカバーの歌唱動画等を発信し、同業者(看護師)のファンも多くいる。サブスク音楽配信サービスにアルバム「ゆるウタ J-Pop Cover」、オリジナルシングル「かんごしのうた」を配信。

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出会い

初めて目にした彼女は部屋の中で一人歌っていた。偶然見かけたInstagramの画面越し、まっすぐで優しい声。

アカウントをフォローしたその日から、口ずさむ彼女と毎日顔を合わせているような感覚だった。彼女は“うたう看護師”manaさん。看護師として働く彼女がうたう理由とは何だろうか?

今回「メディケアナース」初のゲストとして取材させて頂く事になった。

看護師の彼女

待ち合わせは午前11時半。「初めまして~!」と笑顔の彼女は夜勤明けでやって来た。

看護師歴5年目のmanaさんは、総合病院に勤務しているだそう。

コロナ渦中、お仕事の状況について

「皆が感染しているかもしれないと言う前提で働く必要があって、患者さんの元に気軽に行けなくなりました。患者さんは家族と会えない時間が増えるので精神的に苦しいし、看護師も苦しい。お互いに大変な時期なんだと思います。」

そう語るmanaさんは現場に立つ本物の看護師なのだ。

「看護師として年数を重ねていくと、経験や知識を優先してしまいがちなんですよね。私はなるべく、人と人だから話す事で何でも進めて行きたいなと思っています。」

そのような状況であっても「言葉を交わすこと」を大切にしたいと言う彼女は朗らかで優しい雰囲気をまとっていた。

幼い頃から「人の役に立つ仕事がしたいと思っていた」と振り返るmanaさん。

「最初は弁護士になりたかったけれど、それは難しそうだと感じて。気が付けば看護師を目指していた感じ…。

看護師であれば、弁護士の人も含めて色々な人が社会に戻ってまた働く為に支える事が出来る。これなら私に出来るかな?と思ったんです。」

うたうきっかけ

manaさんが休日に“歌うようになった”のは、総合病院に勤めて二年目の夏頃でした。それまで「休日も勉強漬けだった」と言う彼女は、自他共に認める真面目な性格。

「看護師二年目の夏に少し余裕が生まれたので『趣味が欲しいなぁ』と思うようになって。元々、高校と大学でバンドを組んでボーカルを担当していたのですが、私にとって趣味と言えば音楽しかなかったんです。とにかく歌うことがとにかく好きだった。」

好きの気持ちに対しても真面目でまっすぐなmanaさんは「あとは楽しくギターを弾いて歌うだけだ」と“うたう看護師”の日々を過ごすようになる。

また、自分のような音楽好きの友達が出来るかもしれないからとInstagramに歌唱動画を投稿するようになったのだそう。

うたう看護師

「毎日どこでも歌っています。仕事から帰って家でギターを触りながら歌う時間が一番のんびり出来ますね。

歌う時に動画撮影と録音もするんですけど『今日はあの曲やろうかな』とか考えるだけでも楽しい。

ただ、Instagramに投稿する事は目的では無いので『今日もやらなきゃ』と言う気持ちは全く無いです。」

そんなmanaさんはオリジナル曲「かんごしのうた〜働く全ての看護師の為に〜」を制作。

タイトルにあるように、自身と同じ現場で働く看護師を想って生まれた歌である。

「“かんごしのうた”を制作したのは、お看取りをした夜勤明け、ベッドの上でギターを握りしめながら、自分の対応や看護はあれで良かったのかな。他にも何か出来たかな。とか思い返している時がきっかけです。

まだ二年目だった事もあって『私に何ができるんだろう』と考えている時にサビの部分が出てきました。今は私達が“何をしたのか”よりも、一緒に“時間を共有出来た”事が大切なんじゃないかと、ようやく思えて…。」

「そうやって、私のように悩んでいる看護師の方もいると思うんです。だから少しでも共感してもらえたり、励みになれば嬉しいなって思っています。

看護も、歌も、誰かの役に立てる手段という意味では似ているのかも。自分が楽しいと感じる事が誰かの役に立つ事は嬉しいです。」

実際に看護師や看護学生を中心に多くの反響を呼んだ「かんごしのうた」。

それを受けて、出会ったひとや届いた声はmanaさん自身の生活に対する考えにも影響を与える。

「どんな時も楽しもうとより強く思うようになりました。プライベートも、仕事も。自分が前向きに楽しんで過ごしていると、周りのひとも自然とそういう気持ちになってくれるんじゃないかなって…。それは仕事も一緒で職場に一人、いつも笑顔で楽しそうな人がいると安心出来ますよね。」

このような社会情勢の昨今「どんな時も楽しむこと」はそう容易い事ではないだろう。

それでも“うたう看護師”manaさんは、このような考えを大切に日々過ごしている強いひとなのだ。