リレーエッセイ〜看護のすきま〜【 vol.1 森あゆ実】
「メディケアナース」は、看護師として働くひとの休日に“のんびり”を届けるウェブマガジンです。私達が考える“のんびり”とは「私を楽しみ、私と語らう時間」。連載企画「リレーエッセイ〜看護のすきま〜」は、看護師として働くひとによる“背伸びしない”エッセイ集です。人と人のすきまを紡ぐ看護師が「休日の私」をテーマにエッセイを綴ります。
vol.1 森あゆ実
横浜、渋谷、愛媛、富山、仙台…最近、休日なのか、仕事なのかわからないような生活をしている。私は集中ケア認定看護師として、ICUやERで10数年勤務し、あらゆる資格やキャリアを重ね、役職をいただいたり、チームの立ち上げをしたり…。病院の中でバリバリに働く充実した看護師ライフをつい1年前まで送っていた。
今の仕事に就く転機は、仕事中のほんの一瞬のことだった。つい2週間前に退院したはずの男性が担架でERに運ばれ、元気に(?)私に声をかけてきたのだ。 その時、「あ、私が本当にやりたいことがわかった」と思った。
自分の健康状態に目を向ける時間すらない人に、 医療を、健康を、もっと身近に気軽に、感じてもらいたい。 その一心で現在の検体測定室を開業した。 全国に出張し、今まで関わったこともないような企業の方と触れ合い、 医療者目線の考え方に、痛感することも、逆に感謝されることもあった。
知らない土地で出会う人や文化、街並み、おいしい食べ物(実はこれが一番の楽しみでもある)を知り、「ああ、あの人はこの町でこんな風に生活しているんだなあ」と感じることで、より一層、看護師としてリアルな支援ができるのではないか。 最近やっと、そんな風に思う余裕が出てきた。
家族と過ごす日もあれば、こうやって各地で仕事をしながら過ごす日もある。 のんびり穏やかな日もあれば、ホテルでしょんぼりする日もある。(だいたい寝て忘れる)
心が晴れやかでいるとき、それが私にとっての「休日」なのかもしれない。