認定看護師の役割とは?求められるスキル
特定分野の患者への看護ケア・医療技術を認定する「認定看護師」には、具体的にどんな役割があるのでしょうか?病院などで高水準の治療・指導活動をおこなう認定看護師について紹介します。
認定看護師とは
認定看護師の資格を取得し、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を用い、高い水準の看護ができると認められた看護師です。看護現場での看護ケアの広がりと、質の向上を目的とし、1996年に日本看護協会が始めた制度です。
特定分野での主な役割は、「水準の高い看護の実践」「看護職への指導・相談」です。現場のプロとして、他の看護師の指導もおこないます。2018年には累計約1万8700人の方が取得しており、毎年増えています。「看護師としてスキルアップしたい」「幅広い看護活動がしたい」というナースには、認定看護師の資格取得がおすすめです。
認定看護師の役割
認定看護師が医療現場で次の3つの役割を果たすことで、より質の高い看護の広がりが期待されます。
主な活動内容
実践:個人・家族・集団に対して熟練した看護技術を用い、「水準の高い看護」を実践します。
指導:特定の看護分野において、看護実践を通して看護職への指導を行います。
相談:特定の看護分野において、看護職に対しコンサルテーション(相談・協議・他の専門家への相談等)を行います。
認定看護師は、病院、訪問看護ステーションやクリニック・診療所、介護保険施設等で活動しています。
認定看護師の分野
日本看護協会の認定看護師制度委員会が特定し、認めた「認定看護分野」には、次の21分野があります。
認定看護分野 | 主な知識・技術 |
救急看護 | 救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術 |
皮膚・排泄ケア | 褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失 禁等の排泄管理 |
集中ケア | 生命の危機状態にある患者の病態変化 を予測した重篤化の予防 |
緩和ケア | 疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫など の苦痛症状の緩和 |
がん化学療法看護 | がん化学療法薬の安全な取り扱いと適 切な投与管理 |
がん性疼痛看護 | 痛みの総合的な評価と個別的ケア |
訪問看護 | 在宅療養者の主体性を尊重したセルフケ ア支援およびケースマネジメント看護 |
感染管理 | 医療関連感染サーベイランスの実践 |
糖尿病看護 | 血糖パターンマネジメント、フットケア等の 疾病管理および療養生活支援 |
不妊症看護 | 生殖医療を受けるカップルへの必要な情 報提供 |
新生児集中ケア | ハイリスク新生児の病態変化を予測した 重篤化の予防 |
透析看護 | 安全かつ安楽な透析治療の管理 |
手術看護 | 手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を 予防するための安全管理 |
乳がん看護 | 集学的治療を受ける患者のセルフケア および自己決定の支援 |
摂食・嚥下障害看護 | 適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択 および実施 |
小児救急看護 | 救急時の子どもの病態に応じた迅速な 救命技術、トリアージの実施 |
認知症看護 | 認知症の各期に応じた療養環境の調整 およびケア体制の構築 |
脳卒中リハビリテーション看護 | 脳卒中患者の重篤化を予防するための モニタリングとケア |
がん放射線療法看護 | がん放射線治療に伴う副作用症状の予 防、緩和およびセルフケア支援 |
慢性呼吸器疾患看護 | 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じ た呼吸器機能の評価及び呼吸管理 |
慢性心不全看護 | 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じ た生活調整及びセルフケア支援 |
認定看護師になるために必要なスキル
認定看護師になるには、以下の条件をクリアする必要があります。勤務しながら研修を受けることはできず、学費もかかるため、支援制度があるか勤務先に確認するのが重要です。学ぶ分野によっては全国に1カ所しか教育機関がないものもあるので、住んでいる地域も含めて分野を検討します。
・看護師資格を持っている
・看護師として5年以上の実務経験がある(うち3年以上は専門分野での看護経験が必要)
・経験期間は連続ではなく転職や休職で勤務先が変わっても通算でOK
・認定看護師教育機関に入学し、6ヶ月以上(615時間以上)の「認定看護師教育課程」を修める
・「認定看護師認定審査」に合格する
まとめ
認定看護師には、特定分野の看護に役立てる大きな役割があります。認定看護師になると、患者や病院へ貢献する機会が増え、看護師として大きくキャリアアップできます。認定看護の21分野の中には、「訪問看護」も含まれます。訪問看護では、在宅医療をしながら暮らす方のサポートができます。看護師として専門分野を極めたい方は、認定看護師の取得をぜひ目指してみてください。